宗右衛門町の夜、西成あいりん地区の泥棒市

花の三連休前日。金曜日の夜は毎度のことながら先輩の仕事を手伝わせてもらっている。帰ったのは深夜の2時(土曜日)になっていた。すぐに床に就き、起きたのはいつもと同じ6時半。休みでも平日と同じ時間に起きてしまうのは悲しくもおっさんと自覚した。二度寝せずにダラダラ部屋の片付けをしていたら夕方に。なんだか少し疲れたので昼寝をしたつもりが起きたら夜22時。疲れが溜まっていたのかもしれない。

が、(あかん、あかん、あかん!)と、心が鳴った。
そして思った「いまから深夜の大阪をさんぽしよう」と。

まずは北の繁華街「東通り商店街」と「兎我野町」

1:48~

心地よい夏の夜風に吹かれながら最初に降り立ったのが、これまで日中スナップで頻繁に訪れていたホームタウン。終電時間も過ぎていたけど、想像以上にガランとしていた。キャッチの兄ちゃんも「人いね〜」とぼやいていたので、あながち間違いではなさそうだ。

東通り商店街

α7II + FE28mm F2

うろちょろ路地裏などを散策。幾度と無く来ている場所で、人も少なく、少し面白みに欠ける印象だった。「キタ(主にJR大阪を中心とする街)の若者、もう少し元気出せよ!」とおっさん思考。東通り商店街を切り上げ、兎我野町へ

兎我野町

α7II + FE28mm F2

飲み屋街に人がいなけりゃ、風俗街にも人はいない。年季の入った玄人キャッチがここぞとばかりに「お兄さん!」と声をかけてくる。正直この瞬間は好き。深夜の風俗街には孤独な人がたくさんいる。夜のネガティブな心に、もっと毒を浴びに来る男たち。そして金で身体を売る女たち。それをつなぐキャッチやスタッフ。悪いとは思わない。これが人の欲。これを週に一度程の頻度で浴びないと頭がおかしくなってしまいそうになる。

そして「日本橋」から「宗右衛門町」へ

2:56~

キタに早々と飽き、そそくさとミナミへ。ミナミのホームタウンと言えば西の電子街「日本橋」である。ここは何故か落ち着く。

日本橋

α7II + FE28mm F2

アニメや漫画(よく知らない)の看板がデカデカと主人公面しているメインストリートから一歩入ると、風情ある昔の電気街の面影が少し残っている。毎年3月に行われる「日本橋ストリートフェスタ」ではレイヤーとカメ子が昔の電気街でよく撮影をしている。これは背景と合わせたいわけではなく、単に人が少ない場所で撮りたいからだと思う。日本橋ストリートフェスタは好きで毎年行っている。商店街に面した堺筋が歩行者天国になるのだが、目眩がするほど人が多い。と、思いにふけるのはそこそこに、早歩きで戎橋付近に向かう。

千日前商店街

α7II + FE28mm F2

道中は素直に「千日前商店街」を通過。日本橋に続き、ここも人は少ない。が、道頓堀川に近づくとだんだん人が増えてくるのがわかった。「東通り商店街」とはまた違う”今なお活動している”といった人たちが沢山いた。

戎橋

α7II + FE28mm F2

戎橋(通称:ひっかけ橋)は、すごい賑わいである。もちろんキャッチのニーチャンやネーチャンも沢山いるが、それ以上に街で遊んでいる人が多い。大学生らしき集団や観光客。そしてその街にいることに意味がある人達。ここで僕のテンションは上がる。足早になる。「もっと歓楽街の方へ行けばどうなっているのか!」と心踊りながら「宗右衛門町」へ

宗右衛門町

α7II + FE28mm F2

「宗右衛門町」は関西で一番熱気のある、そして大きい歓楽街だと感じた。観光客や飲みに来た人々、そして業者たち。人が蠢いている。欲が飛び交っている。ほとんどが金と性。気持ちが良いくらいにむき出しで絡んでいる。この街が好きだ。クラブがあるらしく、外国人も多い。道を歩いているだけで創造がふくらむに膨らむ。これが見渡す限り何百何千とにあるビルの一室では、もっと濃い何かが繰り広げられていると想像するだけで、ゾワゾワする。押し入って撮りまくりたい衝動にかられる。また来よう。

宗右衛門町

α7II + FE28mm F2

宗右衛門町の猫

α7II + FE28mm F2

思い立ったが吉日。西成あいりん地区の「泥棒市」へ

5:21~

「宗右衛門町」で深夜のさんぽをしていると、ふと西成が頭によぎった。最近頻繁にさんぽをしている街。ここまで来たら行くしかなかった。そして噂に聞いた「泥棒市」を観ることが出来ると気付いた。今までは昼くらいにブラブラ向かうのが通例だった。「泥棒市」朝しか行われていないと聞いていたので見たことはなかった。しかし今は明け方。見れる。宗右衛門町をそこそこに「泥棒市」が行われている場所を検索し、そこへ向かった。その場所は、センターと呼ばれている建物の裏手だった。センターとは「あいりん労働福祉センター」の通称で、朝早く労働者が仕事を求めて集まってっくる場所だ。そんな情報しかなかった。そしてセンターの前に着いて愕然とした。

あいりん労働福祉センター

α7II + FE28mm F2

想像以上の大きさ、威圧感のある建物だった。押しつぶされると恐怖するコンクリートの化物。そんな印象だった。入り口であろう場所にはバンが停まり、労働者がまばらに乗って行く。これが西成あいりん地区。今まで西成に来ていたと思っていたけど、この光景を見ていなければ来たことにならないと悟った。これだ。これが本当の姿だ。ここに労働者が集まり、仕事をし、ドヤ街へ帰っていくのだ。これがあるから日本中から人が集まってくるのだ。そんな場所の隣で「泥棒市」が催されている。当然だ。

泥棒市

α7II + FE28mm F2

詳細には撮影できなかったが、こんな感じだった。約30店ほどの店が並び、統一性のないものがシートの上に並べられている。そこには、コピーDVDやブランド物、充電器や衣類など様々だった。中でも「薬」には驚いた。噂でしか聞いていなかったが実際に目の当たりにすると、その異様性が実感できる。もちろん薬の処方には免許がいるので違法だ。もっと言えば、警察への届出なく路上で商売することは違法行為だ。まぁそんなことはどうでもいい。警察に任せる。と、ふらふら見ていると一人のおっちゃんが話しかけてきた。あの時のおっちゃんだった。前に写真撮っていると知らぬ愚痴を言ってきたのおっちゃん。

おっちゃん

α7II + FE28mm F2

あいりん地区で写真撮っている僕みたいなのにフレンドリーに話しかけてくれる。正直嬉しい。都会を歩いていてこんなふうに話しかけてくれることはまず無い。初めてきた時も、二回目に来た時も、三回目に来た時も、今までずっとあいりん地区の色んなおっちゃんが話しかけてくれた。そこに悪意はない。ただ興味を持ってくれた。ただ撮らせてくれた。写真家として、人間として嬉しかった。中には歯が全部無くて何言っているかわからないおっちゃんもいるけどそれも良い。

今回の”さんぽ”のまとめ

初めて撮影記録を文章に書いたかもしれない。字に起こしたり構成を考えたりすることに慣れてないから自分語りが多すぎたように思う。また撮影記録のはずが、こうやってブログに対しての反省になってしまっている。文章はなかなか難しい。ただそれで良いかもしれない。感じたことをそのままに出せたらそれでいい。「どんな写真が撮りたい?」と自問自答するきっかけにもなる。今日書いてみて思う「命ある写真」が撮れるようになりたい。